ホンネのおかね

突然の入院で治療費が100万円!
高額療養費制度だけで大丈夫?

Topic

1つ前のコラムでもふれた「高額療養費制度」とは、公的医療保険制度に加入していれば受けられる、医療費の負担を軽減する補助制度です。

しかしながら「高額療養費制度だけでは万全ではない」場合もあり、民間の医療保険にも注目する方が増えてきています。

その中でよくあるのが「高額療養費だけで、医療費をすべてまかなうことができるのか?また、制度を利用したら、民間の医療保険の保険金は受給できないのか? 」という疑問です。

本コラムでは、高額療養費制度の詳しい内容や疑問についてお答えしていきます。

Index

高額療養費制度をおさらい

高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額(※)が、ひと月の上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。

毎月の上限額は、加入者が70歳以上かどうかや、加入者の所得水準によって分けられます。また、70歳以上の方には、外来だけの上限額も設けられています。
※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。

更に詳しい内容については、1つ前のコラムをご参照ください。
高額療養費制度って?

高額療養費制度を利用する際に知っておいて欲しいことがあります。

負担はさらに軽減してもらえる

◆世帯合算の考え◆
おひとり1回分の窓口負担では上限額を超えない場合でも、複数の受診や同じ世帯にいる同じ医療保険に加入している方の受診について、窓口でそれぞれ支払いをした場合、自己負担額を1か月単位で合算することができます。

その合算額が一定額を超えたときは、超えた分を高額療養費として支給されます。
※ただし、69歳以下の方の受診については、2万1千円以上の自己負担のみ合算されます。

◆多数回該当◆
過去12か月以内に3回以上上限額に達した場合は、4回目から「多数回」該当となり、上限額が下がります。

公的医療保険制度に加入している日本国民であれば誰でも受けられる制度です。
毎月の上限額についても、厚労省のホームページの表を参考にしていただくことで、おおよその部分は把握できますが、実際に正確な金額が知りたい方は、ご加入されている公的医療保険の窓口まで問い合わせしてみましょう。

上限額あり。補助されない項目も…

高額療養費制度においては、毎月の上限額を超える部分のみが補助されます。

また、先述したように入院時の朝昼晩の食事、差額ベッド代、衣料品・日用品などの入院にかかる雑費や家族の交通費などは補助されません。

また、先進医療(公的医療保険の範囲に含めるか、厚労省が検討中の新しい治療・手術)は患者が全額自己負担することになるので注意が必要です。

先進医療に関する過去コラムをご参照下さい。
先進医療は全額自己負担?

また「ひと月で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度」であるため、月をまたぐと計算上、自己負担額は増えてしまいます。

このように補助範囲や制度上の問題点を考慮すると、やはり高額医療費給付制度は充分な補助ではないと言えそうです。

実際、「入院日数は減っているのに医療費は増えている」という現状があります。

そこで「民間の医療保険」にも加入する方が増えています。
先進医療などについてもカバーしてくれる特約も付けられるのは心強いですね。

高額療養費と民間の保険金はどちらも受給可能

民間の医療保険で高額医療費給付制度の補助から外れるものを民間の医療保険でカバーしようとする方が増えると、気になるのが「どちらも受給できるのか? 」という点です。

結論としては「できます」。

高額療養費制度はあくまでも「補助」なので、実際かかった医療費の一部を還付するものです。
しかし、民間の医療保険は「保障」です。

医療保険は「被保険者が万が一の事態に陥ったとき、本人や家族が経済的に困窮しないように」するためのものなので、その金額はひとや家庭によって異なります。
ですから、高額療養費制度に関わらず、すべての保険金が受給可能です。

まとめ

高額療養費と民間の保険金は両方受給可能ということに加え、高額療養費制度の詳しい内容も併せてご説明させていただきました。

高額療養費制度だけでは、充分な補助とは言い切れない面があるだけに安心された方も多いのではないでしょうか?

もしものときにご家族に負担をかけないよう、家庭のおもな収入を担っておられる方は、医療保険も検討されることをおすすめします。